第12回カンファレンス講師紹介・講演概要

第12回カンファレンス

講師紹介・講演概要 、順次更新していきます。
プログラムはコチラです。

講師紹介 講演概要
Denise Fenzi (デニス・フェンツィ)
マーク ハインズ
<略歴>
さまざまなドッグ・スポーツで活躍。- オビディエンス(AKCおよびUKC)、追及(AKCおよびシュッツフント)、シュッツフント(USA)、モンディオリング(MRSA)、ハーディング(AKC)、ドッグショー(AKC)、およびアジリティー(AKC)でタイトルを獲得。華々しくも正確なオビディエンス作業で最も良く知られる。 - 2つのAKCオビディエンス・チャンピオンと、シュッツフントおよびモンディオ・リングスポーツのオビディエンス科目でのパーフェクト・スコアで証明されている。競技者として成功を収める傍ら、犬をトレーニングすること、彼女自身もしくは友人の犬が呈する問題を解決することに熱い情熱を注ぐ。競技犬の気力、意欲、集中力の発達におけるエキスパートとして認められており、スポーツドッグの非強制トレーニングに関して、人を引き付ける講演者、エキスパートとして国際的に知られる。強制が一般的とされるスポーツの中で、モチベーショナル・メソッドによる犬のトレーニングおよび競技の能力を一貫して示してきた。トレーニング、講演に加えて、健筆家でもある。犬のトレーニングに関するすべては、積極的に執筆するブログwww.denisefenzi.comで見ることができる。フェイスブックの記事も活発に書いている。犬のトレーニングに加え、他の幅広い関心事についても知ることができるのでフォローしてほしい。デブ・ジョーンズとの共著で4巻からなる「Dog Sports Skills」を最近完成させ、ドッグ・スポーツのコミュニティーの広範囲に渡って称賛を受けている。加えて単著で、「Train the Dog in Front of You」「Beyond the back Yard; Train Your Dog to Listen Anytime, Anywhere!」、さらに、より若い読者のための「Blogger Dog, Brito!」等を執筆している。この中には、ドッグ・ライターズ・オブ・アメリカよりマックスウェル・アワードのベスト・トレーニング・アンド・ビヘイビアー・ブックを受賞したものもいくつかある。2013年、フェンツィ・ドッグ・スポーツ・アカデミーを開設。競技会に参加する犬の国際的なオンライン・ドッグ・トレーニング・スクールとして大きな成功を収めている。人々が本当に相互・共通に楽しめるスポーツにおいて、犬との結びつきを妨げるバリアを取り除くため、注意深く、根気強く取り組む。フェンツィ・アカデミーは、学ぼうとするすべてのトレーナーに対して革新的な情報を提供するための一歩であり、彼女の努力の集大成である。
犬の動機づけに関する理解の導入


このプレゼンテーションの目的は、何が私たちの犬の意欲を高めるか(そして何が高めないか)を知ってもらい、トレーニング・セッションで熱狂と集中を得るためにそれをどのように使うかについて、参加者により深い理解を与えることです。フードは素晴らしい道具ですが、唯一の選択肢ではありません!犬の狩り、獲物の追い立てに対する興味、そして人との互いに有益な関係において密接に相互作用する欲求を理解できれば、トレーニングをより効率的に、より強い熱意で進めることが可能になります。同時に、考えることができない「クレージーな」犬を作り出すことに何の得もありません。順化-トレーニング開始前にその環境が安全だと犬に感じさせること-の重要性についての解説から始めます。その後、トレーニングの参考に、優れた動機づけの形を提供しながら、双方安全な状態で犬と遊ぶことを学習するため、インタラクティブ・トイの正しい使い方の詳細に焦点を当てます。犬とハンドラー、双方の安全をいかに維持するかについて解説します。フード・プレイのアイディアを紹介し、熱意の低い犬に対し、フードをより興味をそそるものにする選択肢を提供します。そして時間が許せば、狩り立て-報酬として、また、犬との関係を構築する手段として「捜索」させる-について解説します。トレーニングの報酬のツールの構築に関心がある方はこのセッションがそれらの選択肢を発展させる手助けとなるでしょう。


失敗の処理と犬への協力の構築 パート1と2


トレーニング・プログラムが良いほど、犬は大抵の場合、より正しく行うことができる可能性が高くなります。現実的には、全てのトレーナーが失敗するという状況にぶち当たりますが、その可能性を認識したプランを事前に作っておけば、トレーニング・セッションが終わった後の感じ方に大きな差を生みます。
このクラスでは、犬がなぜ失敗してしまうのかについての議論のさらに先に進みます。合図に従わないという選択がいかに賢明でないかを犬に理解させるトレーニングを伝授します。犬が長期的に私たちの要求に応えることにより、良好なプルーフィング・セッションの可能性が高まります。
講義はパート1からパート2へと続きますので、この内容を十分に理解するために両方のセッションに出席してください。


フードやおもちゃの代替物の開発:パーソナル・プレイ!


このプレゼンテーションの目的は、人とペットの間の絆をより強固なものにするための手段としてパーソナル・プレイ(フードやおもちゃを使用しない)を使用することを奨励することです。犬は人間との遊びを通した相互作用に純粋に関心を持ち、私たちは遊びとトレーニング・プログラムを合体させることによって、この先天的な欲求を利用することができます。犬がどのように遊ぶか、なぜパーソナル・プレイがそれほど効果的なのかを理解することにより、私たちは人間/犬の関係を新しい段階に持っていくことができます。このプレゼンテーションは、犬と遊ぶあなたの能力を開発するための具体的な情報を提供します。犬の視覚、触覚、聴覚に焦点を当てることにより、コンパニオンである犬との遊び方を学ぶことができます - フードやおもちゃは必要ありません!方法は氷山の一角に過ぎず、パーソナル・プレイを促進することによって、あなたの犬との可能な限り濃厚な関係を築くことができます。遊びをあなたの人生に取り入れることによってあなたの犬の反応がどれほど良くなるか、驚くことになるかもしれません!

太田 光明(おおた みつあき)
太田光明
東京農業大学 農学部 バイオセラピー学科 教授
博士(農学博士)麻布大学 介在動物学研究室 教授として定年(2015年3月)まで務め、
現在は東京農業大学にて教鞭をとっている。

「ドッグトレーニングパーフェクトマニュアル」(チクサン出版)、「アニマルアシステッドセラピ- ― 実践のための理論的基盤とガイドライン」(インターズー)「イラストで見る犬学・猫学」(講談社)他、著書/監修 多数。

 

生理学から見た犬の脳機能


もっとも早く家畜化された犬は、「猟犬」あるいは家畜を守る「番犬」であった。しかし、現代の犬は、われわれのパートナー(相棒)である。「相棒」は江戸時代の駕籠(かご)や畚(もっこ)の棒に由来する。駕籠や畚は二人一組で棒の端と端を担ぐことから、その相手を「相棒」といった。頼りにもなるし、何よりも欠かせない。しかし、その相棒の頭数が減少している。由々しき問題である。

相棒として長く付き合うには
長所を伸ばし、短所を・・・で、世間で何と言われているか、いくつか記してみる。
・短所を改善しても平凡。長所伸ばした方が絶対に良い!
・短所を直したければ、長所を伸ばせばいい
・短所を克服するよりも、長所を伸ばせ!
どうも重要なことは、「覚えが早い」長所を伸ばすのが最善のようだ。「覚えがはやい」賢い犬にするには、仔犬から、高い目標を持つことである。

まず、「食べ物」である:神経伝達物質
1)これから語る「神経伝達物質」には、その元(前駆物質)になるアミノ酸の摂取が極めて重要である。忘れてはいけない(トレーナーたるもの決して忘れるな!)3つの神経伝達物質はドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンである。

バランス!!(犬も人も同じ)
「セロトニン(serotonin)」が正常に分泌されていない状態では、ドーパミンやノルアドレナリンが勝手に暴走して、精神がアンバランスになる。セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンを抑制コントロールしながら、精神を安定させている。「セロトニン」の分泌バランスが良いほど、「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」の働きも安定し、やる気に満ちた爽快な気分なる。

ドーパミンはフェニルアラニンから、セロトニンはトリプトファンから合成される。フェニルアラニンは必須アミノ酸のひとつで、肝臓で作られる『フェニルアラニン水酸化酵素』によってチロシンへと合成されます。さらにチロシンを経て合成されるドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンのもととなる物質でもあり、血圧を上昇させる効果がある。

2)フェニルアラニンの含有量が多い食べ物
3)トリプトファンの含有量が多い食べ物
4)ペットフードだけに頼るな!(講義で詳しく語りたい)

水越 美奈(みずこし みな)
水越 美奈
日本獣医生命科学大学
獣医学部保健看護学科臨床部門 准教授獣医師、博士(獣医学)
(財)日本盲導犬協会 付設盲導犬訓練士学校非常勤講師
パピーレクチャー講師
(社)日本動物病院福祉協会 認定家庭犬しつけインストラクター
同講座講師
パピーケアスタッフ講座講師
(社)日本愛玩動物協会 愛玩動物飼養管理士認定委員
優良家庭犬普及協会 常任理事/CGCテストジャッジ東京都動物愛護管理審議会委員「なるほど!犬の心理と行動」(西東社)、「カルチャークラッシュ」(レッドハート)他、著書/監修/翻訳多数。大学卒業後、動物病院勤務、「PETS行動コンサルテーションズ」主宰を経て平成19年4月より現職。(財)日本盲導犬協会、国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所勤務など、身体障害者補助犬との関わりも多い。
不幸な犬をなくすために私たちができること:犬の一生を通じて犬の生活を見直そう


ドッグトレーナーは人々が伴侶動物として飼育される犬に対して、その飼い主との良い関係を作り、トイレや散歩、留守番など、その犬が飼い主と一緒に楽しく生活するためのマナーを飼い主と犬の双方に指導する立場である。
ほとんどのトレーナーはこの世界から可能な限り不幸な犬がいなくなるよう努力しているに違いないが、残念ながらまだまだ多くの不幸な犬、すなわち社会に歓迎されない犬は存在する。また最近は「殺処分0」という言葉が巷にあふれているが殺処分がなくなれば全ての犬は幸せになるのだろうか?
犬の幸せを考えるためには目の前の犬だけを見ているだけでは不十分である。また法律の改正が全てを解決してくれることもない。専門職と呼ばれる職業はどうしても視野が狭くなる傾向にある。あえて今回は日本の「犬の一生」の実際を追いながら、我々が住む社会に歓迎される犬を増やし、不幸な犬を減らすには我々や飼い主はどうしたら良いのかを包括的に考えていきたい。

真壁 律江(まかべ りつえ)
真壁 律江
1983年 日本大学芸術学部・写真学科卒業
卒業後、カメラマンとして雑誌・広告などの撮影に20年携わる。
2004年 ドッグアドバイザースクール卒業
卒業後、出張トレーニング、しつけ教室、ドッグダンスレッスンを行う。
2008年11月 ホッチ&パル株式会社 設立
2009年1月 練馬区に「Pet Studio Hocci」ドッグスクール施設をオープン
2014年5月 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事長就任
2014年11月 日本人ドッグトレーナー初、愛犬と共にドイツで行われたドッグダンス競技会「The Open Euroean Campionship DOGDANCE 2014」に出場。
2016年 「Dog Dance Japan Competition」HTM 3席
2016年 「Dog Dance Japan World Online Competition」HTM Inter&Adv Class 1席
2017年 「Dog Dance Japan Competition」HTM Adv Class 3席
仔犬の社会化と基本トレーニングをメインに「パピーからの教育」に力を入れている。
「犬にきちんと順番通り正確に教える事」「犬のやる気を育てる事」「犬の興奮度をコントロールする事」をトレーニングのモットーとし、細かな指導をしている。犬の学習能力とコミュニケーション能力に魅了され、ドッグダンスを推奨し、普及活動も行っている。
ドッグダンス競技から学ぶトレーニングの組立て方と犬の精神力


ドッグダンスは華やかにみえますが、実はきちんとしたルールに沿ってノーリードで行われるドッグスポーツです。競技会場での人や犬への攻撃行動は退場、競技リング内にリードを付けて入ったら失格、演技中の排泄は失格、ダブルカラーも失格、モチベーターの持ち込みは禁止、競技中の吠えや身体的プロンプトは減点、数回の指示は減点、正確性に欠ければ減点、上級者はルアーやターゲット使用は減点、というようにトレーニングレベルの高いドッグスポーツです。
それらを踏まえ、どのようにトレーニングを組み立てていけばよいのか、またトレーニングレベルだけでは解決できない本番に強い「犬の精神力」についても触れたいと思います。
ドッグダンス競技犬が特別なものではなく、家庭犬の日常生活のトレーニングにも欠かせない内容のものばかりです。特に公共の場での振る舞い方に必要な要素がたくさん含まれています。

高谷 宗志(たかや そうし)
高谷宗志
経歴:
動物病院22時北谷医療センター勤務医
高谷動物病院 院長
日本獣医疾病統計研究会 理事
日本大学生物資源科学部獣医学科 卒業大学卒業後15年間臨床獣医師として勤務し、疾病統計データを元に現在どのような病気が増えてきているか研究してきました。その後動物系専門学校の専任講師を8年間経験。
その中で動物理学療法専攻を立ち上げとともに、自身もアメリカテネシー大学のCCRPの資格を勉強しながらこれからの日本の飼育方法の中で出来るリハビリプログラムを作っています。
現在のアメリカでは獣医師とトレーナー、理学療法士が協力をしてプログラムを作っています。
様々な人が理学療法やリハビリテーションに関わってもらいたいです。
私は今沖縄にて鍼治療なども含めた総合リハビリテーションプログラムを現場に戻り行なっています。
獣医療から考える動物理学療法リハビリ、高齢犬や身体障害をもつ犬への身体機能回復方法


獣医療の発展と共に近年ペットに対するサービスも幅が広くなってきました。今回はその1つであるリハビリテーションについて、基本から実践までをお話ししたいと思います。 現在日本では動物病院の獣医師が診察、治療、手術、リハビリと行っていますが、海外では数年前からリハビリを病院ではなく、専用施設でトレーナーさんがおこなっています。 実際私も数年間リハビリを行っていますが、診察以外の事は全てトレーニングになるので、トレーナーさんが行った方が達成率は上がります。講義は基本的な考え方から実際の例を挙げてどのようにおこなっていくのか?、また評価はどうするのか?というところまでをお話いたします。簡単にわかりやすく作りました。今回のお話で少しでもご興味のあるトレーナーさんが増え欧米に遅れている日本の環境が向上出来ればと思っています。

荒田明香(あらた さやか)
荒田明香
経歴:東京大学附属動物医療センター行動診療科 特任助教
獣医行動診療科認定医2005年東京大学農学部獣医学専修卒業、獣医師免許取得。同大学大学院博士課程に進学、獣医動物行動学研究室に所属し、2008年特任助教に着任。2010年博士号(獣医学)、2013年獣医行動診療科認定医取得。2014年より東京大学附属動物医療センターおよびACプラザ苅谷動物病院に所属し、現在に至る。犬や猫の問題行動治療に携わりながら、犬における攻撃行動や常同障害の行動遺伝学的研究、問題行動と脳波異常の関わりなど臨床研究を行っている。著書・雑誌執筆:
「常同行動に対する行動診療科の診療アプローチ」J-VET vol.29-12, No.357: 18-32.
「私が経験したケースレポート」MVM vol. 25, No.165: 26-32.
「高齢犬・高齢猫の行動変化」MVM臨時増刊号: 153-165.
「行動学領域の嘔吐」 SA Medicine102号: 30-33.
「てんかんが関与する行動異常」 SAC No.181:4-10.
など論文:
Arata S, Asahi A, Takeuchi Y, Mori Y. (2016) Microsatellite loci analysis for individual identification in Shiba Inu. J Vet Med Sci 78: 493-441.
Arata S, Takeuchi Y, Inoue M, Mori Y. (2014) “Reactivity to stimuli” is a temperamental factor contributing to canine aggression. PLoS One 9: e100767.
など
個体に合わせた問題行動修正法の選択


問題行動は、「人間社会と協調できない行動」あるいは「人間(飼い主あるいは動物と関わる人達)が問題と感じる行動」と定義される。問題かどうかは人間の認識によるもので、動物からすると正常な行動(正常なストレス反応を含む)のこともあれば、異常な行動のこともある。
問題行動の治療を行う場合には、問題行動だけを見るのではなく、カウンセリングや行動観察を通して、その背景要因、誘発刺激、動機づけ、強化子について分析することがすすめられる。それによって、種々の行動修正法(環境調節、系統的脱感作、拮抗条件づけ、消去、行動分化強化)のうち、どれを用いるべきか適切に判断することができるからだ。
本セミナーでは、よく用いるテクニックがどの行動修正法にあたるのかを説明するとともに、実際の症例を紹介しながら個体に合わせた行動修正法の選択について解説する。