ペットドッグパートナーズ試験

社会に受け入れられる「家庭犬のしつけ・トレーニング基準」

ペットドッグパートナーズ試験

★ 犬とともに暮らしていく上で必要なことは、他の人に迷惑をかけないように、社会に快く受け入れてもらえるよう心がけることです。しかし、人社会に馴染めずストレスを感じている犬も多く、飼い主さんと犬が共に暮らし良い関係を築き、幸せを感じているケースは、わずか20パーセント程に過ぎないと言われています。この好ましくない状態を少しでも改善し、誰もが受け入れてくれる犬に育てるためには「家庭犬のしつけ・トレーニング基準」が必要であるとJAPDTは考え、それを定めました。今までは「家庭犬のしつけ・トレーニング基準」がありませんでしたので、各トレーナーが自分達の基準でトレーニングをしていました。JAPDTでは、統一したトレーニング基準に基づいて家庭犬を育てていく(教育していく)ことで、安定した教育ができると考え「ペットドッグパートナーズ試験」を実施することにいたしました。

JAPDTでは、一般社会に受け入れてもらえる家庭犬の普及こそが犬との共生を促進するものと考え、「家庭犬のしつけ・トレーニング基準」を定め認定試験を行い、普及させていきたいと思います。ペットドッグパートナーズ試験は<JAPDT認定・筆記試験>と<JAPDT認定・実技試験>で構成されています。

筆記試験では「犬を飼う上で必要な知識」を問い、実技試験では「さまざまな環境で適切に犬を扱うことができるかどうか」を確認する試験となっています。受験希望者は、JAPDT認定ジャッジ資格者のもと試験を受けることができます。試験に合格した飼い主さんとその愛犬には、日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)から公式の認定証が発行されます。

※JAPDT認定「筆記試験&実技試験」については、こちら
※JAPDT認定「ペットドッグパートナーズ試験 Basic ジャッジ資格者&認定までの流れ」については、こちら
※試験日程や場所については、各ジャッジ認定者にお尋ねください。

ペットドッグパートナーズ試験の目的と概要

【 Mission Statements 】
日本ペットドッグトレーナーズ協会では、人と犬のより良い共生社会の確立を目指すため、以下に示した社会に受け入れられる「家庭犬のしつけ・トレーニング基準」を定める。そして、ペットドッグパートナーズ試験の実施を通して、飼い主および家庭犬への普及を目指す。

(1) 飼い主の意識    ~犬を飼う上での飼い主の責務~
(2) 飼い主の知識    ~飼い主として知っておくべきこと~
(3) 飼い主の技術    ~犬をコントロールする技術の習得~
(4) 犬の順応性     ~日常生活で遭遇する刺激への順応~
(5) 犬の適応性     ~シチュエーションごとの適切な振る舞い方~

(1) 飼い主の意識 ~犬を飼う上での飼い主の責務~

飼い主は、犬の習性に応じた適切な飼育・管理をし、犬の健康及び安全を保持するように努めなければならない。また、犬が人の生命、身体、もしくは財産に危害を加えたり、迷惑をかけたりしないように努め、犬に起因する感染症の予防もしなければならない。さらに突然の災害に備え、普段から犬の健康状態の維持と犬に起因する感染症の予防に努め、避難所などで人に迷惑をかけず、犬自身のストレスを軽減させるためのしつけをする必要がある。

I. 犬の福祉を配慮しているか?
① 疾病予防
・ 狂犬病の予防接種
・ 混合ワクチンの予防接種
・ ノミ・ダニ・フィラリアなどの外部寄生虫の予防
・ 日常の健康管理
・ 定期的な健康診断
② 犬の習性に配慮した適切な管理・扱い
・ 犬の習性や特性を理解する(筆記)
・ 危機管理に配慮した扱い・トレーニング(拾い食いをさせないなど)
・ 十分な散歩や運動を心掛けた管理
・ 適切な広さを確保した飼育環境の設定
・ 陽性強化を中心としたしつけ方・トレーニング手法の実施

II. 社会で迷惑になる可能性のある犬の扱いを理解しているか?
① お散歩など犬との歩行中
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 興奮状態で引っ張りながら歩かせる
・ 犬の好き勝手にフラフラと歩かせる
・ 曲がり角などで犬を先行させる
・ ノーリードやリードを長く弛ませたまま歩く
・ 人、他の犬などとすれ違う際に飛びつく・吠える・咬みつく
・ 人、他の犬などと近い距離ですれ違う

<理想的な対応・トレーニング>
・ 飼い主の横(首輪が手の届く範囲内にある位置)について、落ち着いて歩く
・ 曲がり角などでは飼い主が人や他の犬などの存在を確認してから歩く
・ リードは短く持つ(何かあった際にすぐに対処できる長さ:首がつらない程度)
・ 人、他の犬などに過剰に反応しないですれ違う
・ 適切な距離をはかりながら人や他の犬とすれ違う。その際、ポジションのチェンジ
(人や他の犬の反対側につかせて歩く)や、人や他の犬との間に飼い主が入って歩く

② 衛生管理
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 犬の好きな場所・好きな時に勝手に排泄さる
・ 場所を選ばずに排泄させる
・ 排泄物を適切に処理しない
・ 犬に起因する感染性の予防を怠っている
・ 抜け毛に配慮しないでブラッシングをする

< 理想的な対応・トレーニング>
・ 排泄は、基本的にトイレシートの上で済ませる
・ 飼い主の指示で排泄させる
・ 他人に不快な思いをさせるような場所では排泄させない
・ 排泄物を処理するための道具を常に携帯する
(うんち袋、水、トイレシート、消臭剤)
・ 排泄物は、「とる(吸い取る)→水かける→吸い取る→消臭剤をかける」の順で処理する
・ 病気の際や着用が義務付けられている場所では、状況に応じてマナーベルトの着用をする
・ 定期的な予防接種、寄生虫予防、衛生・健康管理を行う
・ 抜け毛で迷惑をかけない場所・やり方でブラッシングをする

③ 吠え
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 人、他の犬を見て吠え続ける(歩行中、家の中から、家の庭などの敷地内など)
・ 日常生活で遭遇する刺激に対して警戒して吠え続ける
・ 飼い主に対して要求吠えをし続ける
・ 初めてや苦手な場所、状況で吠え続ける

< 理想的な対応・トレーニング>
・ 吠えた際に犬の気をそらせられるようなもの(おやつなど)を携帯する
・ 吠えないための練習(慣らす、落ち着かせるなど)を日頃から行う
・ 吠えが迷惑にならないような環境設定を心掛ける
・ 飼い主が落ち着いた対応をし、犬を興奮させすぎない
・ 吠えのコントロールができるように練習する
(飼い主の指示で吠える・吠え止めさせる)

④ 犬同士の挨拶
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 相手の許可なく勝手に挨拶をさせようとする
・ 屋内の施設など、場所を選ばずに犬同士を挨拶させる
・ 過度な興奮状態(吠える、激しく遊ぶなど)を保ちながら挨拶を続ける

<理想的な対応・トレーニング>
・ 挨拶させる際は相手の飼い主の許可を得て、犬の様子(怖がっていないか、攻撃になっていないか)を確認しながら挨拶させる
・ 必ずしも犬と挨拶をしなくても良いように、日頃から他の犬に対する社会化や飼い主に意識を向ける練習をする
・ 飼い主の指示で挨拶を始めて終わらせられるようにする
・ 過度に興奮し始めたら挨拶を止めさせる

⑤ 自分の犬以外の犬との接し方
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 相手の許可なく勝手に犬を触る
・ 相手の許可なく勝手に犬に食べ物を与える

<理想的な対応・トレーニング>
・ 相手の許可を得てからに犬を触る
・ 相手の許可を得てから犬に食べ物を与える

⑥ 人と犬が一緒に飲食ができる施設
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 椅子やテーブルの上に乗せる
・ 犬の食器をテーブルの上に乗せる
・ 人の食器で犬に餌を与える
・ 様々な刺激に対して警戒して吠え続ける
・ 施設内で排泄をさせる

<理想的な対応・トレーニング>
・ 足元で伏せて待たせる練習をする
・ 日頃から様々な刺激に対して慣らす練習をする
・ 犬専用の食器を用意する
・ 入店前に排泄を済ませる

⑦ その他
<迷惑になる可能性のある行為>
・ 車の窓から外に向かって吠え続けさせる
・ 自転車で犬を散歩する
・ 公共の場所に犬だけをつないで待たせる

<理想的な対応・トレーニング>
・ 車の中ではクレートに入っていられる練習をする
・ 自転車では散歩しない
・ 犬の入店ができない場所には連れていかないで留守番をさせる

III. 法律・条令に準拠した管理・扱い

・ 散歩時はリードを着用する
・ 犬が入ってよい場所かどうかを把握する
・ 狂犬病のワクチン及び畜犬登録を行う
・ 鑑札を着用する
・ 車の運転中は運転席に来させない(クレートの中に入れる)

IV. 非常時への備え
・ 狂犬病のワクチン及び畜犬登録を行う
・ 鑑札を着用する(マイクロチップや迷子札などの併用が望ましい)
・ 日頃から様々な刺激に対して慣らす練習をする
・ 吠えないための練習(慣らす、落ち着かせるなど)の練習を日頃から行う
・ 吠えのコントロールができるように練習する

(飼い主の指示で吠える・吠えを止めさせる)
・ 飼い主の指示で排泄させる
・ 排泄物を処理するための道具を常に携帯する

(うんち袋、水、トイレシート、消臭剤)
・ 定期的な予防接種、寄生虫予防、衛生・健康管理を行う
・ クレートトレーニングを行う
・ 他人に触られる、預けられるようにトレーニングをする

(2)飼い主の知識 ~飼い主として知っておくべきこと~

飼い主は、犬および犬種特有の本能・習性に対して知識を深める一方で、犬を飼育する上での法律やルール、社会的なマナーへの知識と理解も深め、人と犬が共に幸せに暮らせるように管理・しつけを行う必要がある。
また、犬の体の構造、栄養、疾病予防等の正しい知識に基づいて、犬の食事や生活空間の広さや構造、温度、湿度など、飼育環境を整えた管理が必要となる。そのため、飼い主は以下の知識を有することが必要となる。

① 社会とルール/法律
② 行動と学習/犬の特性/習性
③ 犬の生理機能/犬の体のつくり
④ 健康管理/衛生管理/疾病予防/人畜共通感染症/応急処置
⑤ 食餌/栄養
⑥ 社会で働く犬
⑦ 犬を取り巻く現日本社会と歴史

(3)飼い主の技術 ~犬をコントロールする技術の習得~

飼い主は、犬が人の生命、身体、もしくは財産に危害を加えたり、迷惑をかけたりしないように日頃から犬をしつけ、様々なシチュエーションで犬をコントロールできるようにする必要がある。

① お散歩など犬との歩行中
・ 飼い主の横(首輪が手の届く範囲内にある位置)について、人、他の犬などに過剰に反応しないで、落ち着いて歩かせられる
・ 人や他の犬とすれ違う際、ポジションのチェンジ (人や他の犬の反対側につかせて歩く)をさせられる
・ 落ちているものを咥えさせないように歩かせられる
・ 誘惑物に近づかせないように歩かせられる

② 衛生管理
・ トイレシートの上で排泄を済ませられる
・ 飼い主の指示で排泄させられる
・ 健康管理ができる

③ 吠え
・ 飼い主が落ち着いた対応をし、犬を興奮させすぎない
・ 吠えのコントロールができる(飼い主の指示で吠える・吠えを止めさせる)

④ 犬同士の挨拶
・ 飼い主の指示で挨拶を始めて終わらせられる
・ 過度に興奮し始めたら挨拶を止めさせられる

⑤ 人と犬が一緒に飲食ができる施設
・ 足元で伏せて待たせられる
・ 日頃から様々な刺激に対して慣れさせている
・ 飼い主が離れても静かに待たせられる

⑥ 犬が恐怖心を感じた際
・ 犬の恐怖や不安な反応を見逃さず、恐怖や不安の原因となる要素を分析できる
・ 恐怖や不安を克服させられるような対処ができる
⑦ その他
・ どんな状況でもクレートの中で静かに待機させられる

(4)犬の順応性 ~日常生活で遭遇する刺激への順応~

日常生活で遭遇する様々な刺激に順応していなければ、恐怖を感じ、人や他の犬に危害を加えてしまう可能性がある。また、犬自身も多大なストレスを受ける可能性があるため、飼い主は犬自身のストレスを軽減させるため、日頃から日常生活で遭遇する様々な刺激に犬を慣らさなければならない。

刺激に対する犬の反応
・ 日常生活で遭遇する様々な刺激に対し、過剰な反応を示さない
・ 様々な状況下でも平常心を保ち続け、飼い主を注目し、指示に対して意識を向けられる
・ 飼い主および飼い主以外の人から体を触られることに慣れている

※刺激の種類
・ 嗅覚刺激  他の犬の匂い、病院などの匂い など
・ 聴覚刺激 スピーカーの大きさ・音量・雷・花火等音の種類 など
・ 視覚刺激 他犬・他人・モノ・距離・スピード・角度 など
・ 触覚刺激 飼い主の手・他人の手・ブラシ等・時間・圧力・範囲 など
・ 環境刺激 会場・足元の素材・景色・風 など
・ 状況刺激 診察台上で獣医師に触診される・ボディをコントロールされる・他人に抱きあげられる など

(5)犬の適応性 ~シチュエーションごとの適切な振る舞い方~

犬がより人社会に適応するためには、飼い主の技術 ~犬をコントロールする技術の習得~ で挙げたそれぞれのシチュエーションで、犬自身が状況を理解し、適切な振る舞いを示すことが望ましい。

JAPDT認定「筆記試験&実技試験」については、こちら
JAPDT認定「ペットドッグパートナーズ試験 Basic ジャッジ認定者&認定までの流れ」については、こちら