第11回カンファレンス講師紹介・講演概要

講師紹介 講演概要
Mark Hines(マーク ハインズ)
マーク ハインズ
所属:KONG COMPANY
 
コング社専属の動物行動学、トレーニングのスペシャリスト。
10代の頃から狩猟犬のトレーニングをしながら獣医師のもとで働き、獣医師を志すがShutzhund-training (IPO)と出会いその奥深さ、犬の特性を大いに引き出せるドッグトレーニングの道を選ぶ。
現在はコングのドッグトレーナーとして、多くの獣医師やブリーダー、ドッグトレーナーやドッグシェルターなどと協働でトレーニングを行う傍ら、世界各国での講演なども行う。また、アメリカでは警察犬や軍のK-9ユニットなどのコンサルタントトレーナーとしても活躍。

Mark Hines is internationally recognized as the KONG Company’s lead behavior and training specialist. In his roll with the KONG Company over the past 13 years,Mark works with veterinarians, behaviorist, breeders, shelters, and a wide variety of trainers. He also provides training and consultation for law enforcement and military K-9 units. Mark’s presentation is titled: “Toys as Tools for Behavior Modification”. His talk gives practical solutions for numerous canine behavior problems including, separation anxiety, aggression, destructive chewing, stress and boredom to name a few.
Mark references his multiple experiences in working with these canine influencer groups and shares valuable insight in understanding your canine.

警察犬、軍用犬(Military K-9 Units)のトレーニングとオモチャ


警察犬、軍用犬(K-9units)のチームの世界とは、大変ユニークなものです。
特にK-9unitsは、大変過酷で危険で世界で最もストレスフルな仕事を、ヒトとイヌが互いに補い合い、一緒にやり遂げることで成り立っています。
このセッションでは、K-9パピーの初期トレーニングメソッドから、今実際に行われている成犬向け“リアルライフシナリオ”(実戦向け)のトレーニングについてのお話をいたします。
このセッションを通して、犬種(ジャーマンシェパードなどの)について、K-9犬としての評価、選抜方法、トレーニング方法とツールそしてオモチャ、単用または複合目的のk-9についてなど多岐にわたって理解を深めて頂ければ幸いです。


犬の問題行動修正の“ツール”としてのオモチャ


“犬のオモチャ”は、ただ“オモチャ”なだけではない。“オモチャ”は、その選び方や使い方によって犬の様々な望ましくない行動を修正するすばらしい“ツール”となりえます。
コング社のトレーナーであるとともに、軍用犬や警察犬のトレーニングやコンサルティングを行う一人のドッグトレーナーとして、ペットオーナーを悩ませる犬の様々な問題行動へ対する“オモチャ”の実践的な取り入れ方についてお話いたします。
特にアメリカでも多くのペットオーナーが抱える悩み「分離不安」を中心に、攻撃性や破壊行動、犬が抱えるストレスなどに対しての対処方法を事例を交えながら、ご紹介いたします。


デモ
セントトレーニングの基本と応用


“足跡追跡”を行う。もしくはシンプルに様々な“ニオイ”を認識させる。など“ニオイ”を識別させるトレーニングは、ペットオーナーにとっても愛犬との絆をより深めることができる一つの効果的なトレーニングです。
ニオイ識別トレーニングは、全犬種向けとは言えない部分もありますが、このセッションでは、犬の発達した素晴らしい嗅覚能力について、ニオイ検出のトレーニング、ニオイの追跡トレーニング、そして用具の取り入れ方。さらには、難しいニオイの識別を教えるトレーニングへ繋げるためにどのように犬の動機づけを行うか。という事についてお話いたします。

松井 かおり(まつい かおり)
松井 かおり 講師
コミュニケーション・マナー・接遇講師
カウンセラー

専門学校コミュニケーション・マナー・接遇講師
NPO法人東京メンタルヘルススクエア公認スクエア・カウンセラー
全国webカウンセリング協議会認定心理療法カウンセラー
全国webカウンセリング協議会認定アートセラピスト/TCカラーセラピスト
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントファシテーター
一般社団法人日本ストレスチェック協会 ストレスマネジメントファシリテーター
スピードコーチング社MOVE認定コーチ
日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザー
 
専門学校のコミュニケーションビジネスマナー、接遇、キャリア講師を務め、登壇10年の経験を持つ。特に動物、ペット系専攻向けに、業界ならではのコミュニケーションや接遇のカリキュラムを構成し展開。また市民講座や企業のコミュニケーション講師の経験も持つ。NPOの登録カウンセラーでもあり、カウンセリングマインドを活かした講義を実践。現在(株)アニマルライフソリューションズ主催のスタディ・ドッグ・スクールにてドッグトレーナーのためのコミュニケーションや接遇を教えている。

「ペットドッグトレーナーに必要な接遇コミュニケーション」
~「あなたにトレーニングをお願いしたい」と思って頂くために~


近年ペット業界では「接遇コミュニケーション」の必要性が高まり、動物病院などでも様々な研修を取り入れ、スキルアップに力を入れています。その中でもペットドッグトレーナーの仕事は、飼い主様との“距離の近い”“深い”コミュニケーションを求められるため、レベルの高い接遇コミュニケーションのスキルが必要である、と私は感じています。
トレーニングをお願いする飼い主様の目的は、問題行動の改善に留まらず「もっと犬と楽しく幸せに暮らしたい」などの付加価値を求めるケースも多くあります。付加価値ということは、「どんなトレーナーでも、絶対に必要だからお願いする」わけではないということです。ドッグトレーニングは根気強く、目標を持って続けていただくことが何よりも大切であり、担当トレーナーである「あなたに任せて良かった」「またあなたにお願いしたい」という、「あなた」独自の魅力が必要になります。そのためには優れた知識や技術だけでなく、接遇コミュニケーションのスキルも重要な要素となるのです。
今回の講演では、ペットドッグトレーナーの仕事に特化し、どのようなマインドを持ち、どのようなスキルを活用し、飼い主様対応をしていけば良いかをお伝えしていきたいと考えています。


ワークシップ
伝える力・聞く力を磨くペットドッグトレーナーのためのコミュニケーション・ワークショップ


飼い主様との1対1のコミュニケーションが必要不可欠なペットドッグトレーナーという仕事だからこそ、広く多様なコミュニケーションスキルが求められます。このワークショップでは、コミュニケーションの基礎となるスキルを、ゲームを通して楽しく体験しながら身につけていただくことを目的としています。

第1部では、コミュニケーションでまず大切になる「相手の立場に立つ」をテーマに、アイスブレーキングとミニワークに挑戦します。相手の立場に立つということは、相手の気持ちや考えを想像しながら関わっていくということです。コミュニケーションが双方向にスムーズに成り立っているのか、そのためには何が必要か、気づいていただくためのゲームを実施します。

第2部では、コミュニケーションの土台となる「伝える・聞く」ために必要なことや大切なことをワークで実際に体験していただきます。コミュニケーションが双方向で成り立っていくためには「わかりやすく伝える」「集中して聞き、質問する」ことが求められます。ワークを通して、伝える難しさや聞く難しさを実感していただき、しっかり伝えるため、しっかり聞くための工夫や配慮を心がけるきっかけとなればと考えています。

藤井 仁美 (ふじい ひとみ)

藤井 仁美

代官山動物病院
獣医師・ペット行動カウンセラー
しつけインストラクター
 
1990 年、東京農工大学農学部獣医学科を卒業後、都内の動物病院に勤務。
1995 年にシンガポールへ渡航。マウント・プレザント動物病院に勤務。
1998 年渡英。ロンドンのメディベット動物病院に勤務。後に同病院の獣医行動アドバイザーとなり、しつけ相談・子犬クラス・ペットのストレス対策のアドバイスなどを行う。また、ロンドン市内のドッグスクールで、犬のしつけインストラクターとして勤務。
2009年サザンプトン大学院心理学部動物行動学科伴侶動物行動カウンセリング専攻卒業。卒後ディプロマ(専門医資格)を取得。
2013年獣医行動診療科認定医の資格を取得

①犬の常同障害へのアプローチ
~自傷行動を中心に考える~


常同障害とは、何の目的もないように見える行動が、これといった前後関係がないのにしつこく病的に繰り返される状態のことを言う。犬が葛藤・不安・欲求不満などネガティブな情動を感じた時に転位行動が起こることがあり、この行動が繰り返されると常同行動と呼ばれるようになる。さらにネガティブな状態が持続することで、犬の精神状態や神経系に変化が生じ、犬自身の意思では行動制御が不可能となり、常同障害という病的な状態に発展すると考えられている。
本講演では様々な犬の常同障害の中でも、舐める、噛む、掻くなどといった行動を繰り返すことにより犬が自身の体を傷つける自傷行動を中心に、その病態・医学的問題との鑑別診断方法・医学的および行動学的な治療方法を紹介する。さらに実際の症例を紹介しながらトレーナーがこの問題にどのように介入できるかを説明する。


②問題行動のカウンセリング方法
~獣医行動診療の視点から~


犬の問題行動という概念は近年になって犬の仕事に携わる者のみならず、飼い主にも広く浸透するようになってきた。そして行動学や獣医学の発展と共に問題行動に対するアプローチ法も変化してきた。昔から犬の問題行動はトレーナーが相談を受け、トレーニングで修正するということが行われてきたが、今日では獣医師が問題行動を取り扱う機会も増加しており、他の獣医療と同じく問題行動も、診察・診断をした後に治療方法を提案し経過を追って行くという、いわゆる「行動診療」が欧米を中心に確立されてきた。
本講演では獣医行動診療における問題行動のカウンセリングおよび治療の進め方を解説すると共に、犬の問題行動の相談を受けた時、その行動を緩和し飼い主と犬のよりよい暮らしを提供するという目標に向かい、トレーナーと獣医師が連携することの重要性およびその連携方法を考えていきたい。

鹿野 都(かの みやこ)

鹿野 都

特定非営利活動法人動物介在教育・療法学会
動物介在教育指導者養成講座委員、セラピーアニマル評価者養成講座委員、動物介在教育マスターエデュケーター
麻布大学共同研究員
 
麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて人と犬の関係を学び、主に子どもと犬について研究を進め、2008年に博士(学術)号を取得。
大学院中にアニマルセラピーで有名なアメリカニューヨークにあるグリーンチムニーズにインターンを経験し、動物介在介入の現場で学ぶ。
大学院中に放課後キッズワン教室という子どもと犬が遊びながら学べる教室を研究の成果をもとに運営し、現在ではSDSにて引継ぎ平成26年で10年となる。動物介在教育の分野では実践と研究に取り組み、プログラム開発や指導を行っている。

犬を活用した子どもの教育~ドッグトレーナーの役割とは~


犬が学校の授業に参加していることをご存じですか?約二十年前までは、学校の中に犬が入ることすら考えられませんでしたが、現在では犬が参加する授業は子どもたちにとって意味があり、教育的効果が高いと評価され、一部の小学校では進んで取り組まれています。子どもと犬とのかかわりに関する研究も多く発表されていて、犬が子どもにとってかけがえのない存在であることは誰もが感じて認めていることでしょう。
犬の教育に携わるドッグトレーナーが、子どもの教育にかかわることで、どんな効果が期待されるのか、また、犬の専門家だからこそできることもたくさんあることでしょう。
これまで約3千人の子どもたちとかかわってきた経験や科学的なデータをご紹介します。犬に対して理解のある飼い主が増えるためにも、犬を活用した教育の重要性についてお伝えします。

講演、パネルディスカッションパネラー
田中 健司(たなか けんじ)
田中健司
株式会社 西武ペットケア 代表取締役社長
非営利一般社団法人 日本ペットサロン協会 理事長
一般財団法人 ペット災害対策推進協会 理事
 
2003年にアドホック(株)(現:西武ペットケア)へ入社。2007年に同社 代表取締役社長に就任。2008年より西武グループ傘下となる。
「人とペットが共にすこやかに暮らすための環境づくり」をミッションとし、ペット共生マンションやホテル・レジャー施設におけるペット受入の企画コンサルティング、首都圏に18店舗展開するペットケアショップ「PET-SPA」の運営などの事業を推進する傍ら、2011年からスタートした西武グループ「ペットスマイルプロジェクト」のディレクションを行う。
また2013年より日本初のペットサロンの業界団体である非営利一般社団法人日本ペットサロン協会の理事長を兼任し、業界全体の活性化にも力を注いでいる。
ペットの社会的受容性向上に向けての課題と対策


2000年代に入りペット飼育可能な集合住宅の普及、小型犬種の人気上昇、室内飼育率の増加などを背景に、ペットのコンパニオンアニマル化(家族化)が進行しています。
ペットとの生活における三要素ともいえる「医・食・住」の整備が着実に進む一方で、ペット同伴でのお出かけや旅行・レジャーに行く「遊」というキーワードは、ペット非同伴の一般のお客様やペットが苦手な方々との折り合いが難しく、十分に社会的受容が進んでいません。
またそうした背景が、「ペット飼育により旅行に出かけづらくなる」という、ペット飼育の阻害要因ともなってしまっている現状(※図表1参照)があり、近年のペット(特に犬)の飼育頭数減少の要因の一つとなっているとも考えらます。
西武グループではそうした市場やお客様ニーズの変化を受け、2011年より「ペットと一緒にお出かけしよう」をスローガンに、「ペットスマイルプロジェクト」をスタートし、グループ横断的にペットフレンドリーな施設整備に努めております。
本講演では、同プロジェクトのディレクションを行う立場から、西武グループの事業の中でも、とりわけ運輸・ホテル・レジャー施設の取り組み事例をご紹介しながら、ペットの社会的受容性向上に向けて、ドッグトレーナーに期待する役割や、犬のしつけの必要性などについて提言を行います。

図表1 ペットを飼っていて困っている/困ったこと、問題点
資料1

図表2 ペットスマイルプロジェクトホームページ
資料2

出典:http://www.seibu-group.co.jp/pet-smile/

パネルディスカッション
飼い主と犬の世界を広げるために
~ペット関連企業とドッグトレーナーの関わりを考える~
座長
真壁 律江(まかべ りつえ)

理事長 : 真壁 律江
ホッチ&パル株式会社  代表取締役
Pet Studio Hocci  代表
 
2008年11月 ホッチ&パル(株)設立
2009年1月 練馬区に「Pet Studio Hocci」ドッグスクール施設をオープン
2010年 国際的ドッグトレーナー資格であるCPDT-KAを取得
2014年 日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事長就任
2014年11月 日本人ドッグトレーナー初、愛犬と共にドイツで行われたドッグダンス競技会(OEC2014)に出場

開業以来、延べ2万頭の犬のトレーニングとレッスンを行ってきた。クリッカートレーニング歴12年。ドッグスクールでは仔犬の社会化と基本トレーニングをメインに「パピーからの教育」に力を入れている。「犬にきちんと順番通り正確に教える事」「犬のやる気を育てる事」「犬の興奮度をコントロールする事」をモットーとし、細かな指導を行っている。クリッカーを使って犬に行動の選択肢を与えながら、望む行動を強化していくなど、犬にとって行動形成は楽しい事となるよう常に心掛けている。ドッグダンスを通して犬の学習能力とコミュニケーション能力に魅了されると共に、ドッグダンスに含まれるトレーニングスキルに共感し、犬との関係性の築き方も含め普及活動を行っている。

パネラー
藤野 宇一郎(ふじの ういちろう)

藤田宇一郎
株式会社ぐらんぱう 代表取締役社長
イヌリンピック実行委員会 委員長
全国ペット・ツーリズム連絡協議会 メンバー
 
1999年6月より、ペット宿ドットコム(ペットと泊まれる宿情報サイト)の運営を開始。現在年間延べ150万人以上の利用者へ情報を提供。
愛犬家向けイベント「イヌリンピック」「ドッグフェスタ」など数万人規模のイベントを企画運営。はじめてのペット旅行拡大のために、ペット宿ガイドを発行年間22万部以上を主に愛犬家家族家庭へ発行中。
現在では日本国内のペットツーリズムの発展に向け、宿泊施設、交通機関や観光行政や他業界と連携し様々な取り組みを行っている。ビジョンは「ペット同伴旅行を日本の文化へ」
パネラー
鶴岡 誠(つるおか まこと)

鶴岡 誠
CPDT-KA
犬の杜・ペットシッターSOS 千葉南店 代表
ペットシッタースクール 講師
 
1997年 ペットシッターSOS 千葉南店として活動
現在はペットシッティング、店舗、訪問にてドッグトレーニング、ドッグホテル現役ペットシッター、ペットシッタースクール卒業生の実務研修等の活動。時間が空いた時は木こりになる。

ペットシッティングにおいてはシッターという過去の経験の無い他人の存在が動物にとって不快な刺激とならないように「人に合わせるのではなく犬(動物)に合わせる」を理念に動物と関わる。

ドッグトレーニングにおいては行動の理由を犬(動物)の性格や意志などに求めず犬(動物)に責任を押し付けない。やらせる、やめさせる等、行動の結果を操作することばかりにとらわれず行動は環境に対する反応であることを認識し「犬(動物)はいつも正しい」を理念に環境を工夫し行動をやりがいのあることになるようサポートする。

パネラー
鹿野 正顕(かの まさあき)

鹿野正顕
株式会社 Animal Life Solutions (ALS) 代表取締役社長
スタディ・ドッグ・スクール® 代表
日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT) 理事・事業企画委員
 
動物介在教育療法学会(ASAET) 理事CPDT-KAホルダー麻布大学介在動物学研究室(旧 動物人間関係学研究室)にて、人と犬の関係、特に犬の問題行動やトレーニングの研究を行い、人と犬の関係学の分野で日本初の博士号を取得。
麻布大学卒業後、人と動物の関係に関する専門家の育成・普及を目指し、株式会社Animal Life Solutionsを設立し、飼い主教育を目的としたしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール®」の企画・運営を行いながら、トレーナーとしても指導にも携わっている。 2009年には世界的なドッグトレーナーの資格であるCPDT-KAを取得。

書籍/DVD
◆ 「犬の行動学入門」 監修:森 裕司 著:鹿野 正顕/中村 広基
◆ 「アニマルセラピー入門」 編集:NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会 監修:太田 光明
◆ DVD「子犬と暮らす前に 準備と選び方」
◆ DVD「子犬を家に迎えたら 飼い方・しつけ方」販売元:アイディーマグネテック株式会社 監修:鹿野 正顕