家庭犬のしつけにおいて,動機付けトレーニングの考え方が普及しつつあるのは大変喜ばしいことです。しかし,好んでケンカをしかけて行く犬などでは行動を制御しきれない事例も散見され,せっかく“行動学と学習理論に基づいたほめて伸ばすトレーニング”の指導を受けていたにも関わらず,順位付け主義の考え方による“絶対服従の強制訓練”に逆戻りする現象も一部で見られます。それで解決するなら結果オーライかも知れませんが,訓練士さんがリードを持てば借りてきた猫のようにおとなしくなるのに,飼い主では全く制御できないまま,ということが多いのではないでしょうか。
動機付けの発想で,かつ,確実に行動をコントロールして行くことが求められています。今回は他の犬への攻撃性をいかにして抑制するか,完成された答えを示すということではなく,一般の飼い主にできる方法を皆さんとともに考えて行きたいと思います。