”Don’t Shoot the Dog”という刺激的なタイトルで一般向けに紹介された正の強化やシェイピングによる行動制御の技術(Pryor, 1985)が、強制法を忌避する米国のドッグトレーナーたちによって真に理解を得たのは、Donaldson (1996)とReid (1996)によってであると言われている(山本, 2011)。これらの技術は、B.F. スキナーが体系化した行動分析学という心理学を基盤として生まれた。行動分析学はその哲学、方法論、理論体系において他の心理学とは大きく異なる特徴があるが、その中でも、行動の原因を個体の内部(心、性格、意志、能力などの実体のない概念)や脳に求めるのではなく、環境(物理的な環境だけではなく、他個体も含む)との相互作用の中に行動の原因を見出すことが重要である。
このワークショップでは、スキナーが体系化した2つのタイプの行動と学習の原理を理解し、行動随伴性という枠組で行動をとらえる練習を行います。
<引用文献>
Donaldson, J. (1996). The Culture Clash: A Revolutionary New Way to Understanding the Relationship Between Humans and Domestic Dogs. James & Kenneth Publishers.
Pryor. K. (1985). Don't Shoot the Dog!: The New Art of Teaching and Training. Sunshine Books.
Reid, P. (1996). Excel-Erated Learning: How Dogs Learn and How Best to Teach Them. James & Kenneth Publishers.
山本央子(2011) 随伴性で犬と暮らす人々の幸せづくりのお手伝い J-ABA News, 64, 5-7.